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一般社団法人 産学技術協会は、雨水の集排水路の改善をする


 一般社団法人 産学技術協会
 蚊媒介感染症拡散の無い街づくりの会
 現状の問題点  
 
観光立国化を目指す日本では、今後も、訪日外国人が増加する対策が行なわれると予想しています。しかし、蚊媒介感染症の様に、媒介生物を減らす事で予防できる感染症ですら、未だに予防対策については重要な課題が残っています。下記表の
ヒトスジシマカの成虫数の推移を時系列で見ると、2014年の代々木公園からデング熱が拡散した際には、23区部のヒトスジシマカの個体数が、少ない時期に拡散が起きました。現在の推移から考えると、予防効果は無く、感染症が持ち込まれれば、いつでも拡散が可能な状態が続いていると推測されます。特に2016年に、ブラジルから世界的に広がったジカウイルスは、ヒトスジシマカを介して感染するため、現在も注意が必要です。外国人が多く訪れる東京の特に23区部は、多摩部の3倍以上のヒトスジシマカが生息しているため、感染リスクが常に高いです。
23区部でヒトスジシマカが多い理由は、以下の点にあります。
1.雨水桝の存在:現状の雨水桝は蚊の出入りが可能で、繁殖に適した環境であり、特に人の集まる場所に多く存在します。
2.血液の入手: ヒトスジシマカは産卵に血液が必要、雨水桝の近くは人も集まり吸血し易い状況にあります。
3.安全な産卵場所:吸血後、天敵に襲われる心配もなく、安全に産卵場所の雨水桝に辿り着くことができます。
4.栄養価の高いたまり水:降雨と共に水の補充と落ち葉が入り、腐敗と共にボウフラの成長に適した、栄養価の高い水が溜まっています。
これらの要因により、人の多い都市部は蚊にとっては自然界よりも子孫を安定して増やせる「楽園」と言えるでしょう。
 東京都広域サーベイランスデータ19年間を時系列表示
 ジカウイルスは何故怖い  
 

 ジカウイルスは、デング熱と比較して、症状が軽いとされても、その危険性が低いとは限りません。通常は4~7日間の症状が持続することが一般的ですが、特に妊娠中の女性や胎児にとっては深刻なリスクがあります。ジカウイルスに感染した妊婦から生まれる子供には、小頭症などの障害が生じる可能性があり、その影響は生涯にわたります。さらに、基礎疾患がある場合や免疫力が低下している場合には、重篤な症状を引き起こすこともあります。
 国立感染研究所によると、ブラジルの流行ではギラン・バレー症候群や神経症状を認める症例が報告されており、胎児がジカウイルスに感染することで小頭症児が多発している状況が報告されています。このように、ジカウイルスは軽症であるとされている一方で、重篤な症状や合併症、障害を引き起こす可能性がある感染症として認識されています。
 したがって、症状が軽くても侮ることなく、ジカウイルスの感染拡大を防ぐための対策が重要です。特に子育て世代や妊婦にとっては、感染が人生を左右する大きな影響を与える可能性があるため、注意が必要です。自治体や社会全体での対策を強化し、感染症の広まりを防ぐために努めることが重要です。

 何故、雨水桝が蚊の産卵場所に成るのか?  

 上の図の中央にある横引配管は、雨水桝をつなぐ役割を担っています。この配管は現場の状況によって数メートルから10メートル以上になることがあります。しかし、距離が長くなると勾配が少なくなり、雨が止むと異物が流れずに堆積しやすい場所になります。そのため、泥溜めで異物を沈め、上澄みだけを流すことで、配管内の堆積リスクを減らします。排水路の性能を維持するための技術基準として、下水道法施行令に泥溜めを150ミリメートル以上設けることが記載されています。 右側の雨水桝図の泥溜めのように、異物が配管に流れ込むほどの堆積物が出来る前に清掃を行わなければ、泥溜めを設けた意味が無くなります。技術基準の真意を理解した現場の維持管理が必要です。

 左側の雨水桝図の様に、適切な清掃間隔で泥溜めに溜まる堆積物を排出することで、衛生面では蚊の産卵場所に適した、安定した水溜りと、降雨ごとに新たな雨水と落ち葉が流れ込み、水量の保持と栄養価を高める腐敗した落ち葉ができやすい場所となります。蚊にとっては、人間が雨水桝や排水路を整備することで、産卵や幼虫が育つための理想的な環境が作られている状態です。蚊は吸血対象に簡単にアクセスでき、吸血後産卵までに天敵に遭遇するリスクも低くなっています。結果として、蚊にとっての「楽園」とも言えるこの環境が、不合理な形で続いているのです。2015年に『雨水の利用の推進に関する法』が施行されたにもかかわらず、ボウフラが確認される時期にIGR剤の投入があり、薬害不安や衛生面での不安から雨水利用の推進は停滞しています。
 下水道法施行令(昭和三十四年政令第百四十七号)
(排水設備の設置及び構造の技術上の基準)
第八条 法第十条第三項に規定する政令で定める技術上の基準は、次のとおりとする。 『 ますの底には、もつぱら雨水を排除すべきますにあつては深さが十五センチメートル以上のどろためを、その他のますにあつてはその接続する管渠(きよ)の内径又は内のり幅に応じ相当の幅のインバートを設けること。』
雨水の利用の推進に関する法律(平成二十六年法律第十七号)
(目的)
第一条 この法律は、近年の気候の変動等に伴い水資源の循環の適正化に取り組むことが課題となっていることを踏まえ、その一環として雨水の利用が果たす役割に鑑み、雨水の利用の推進に関し、国等の責務を明らかにするとともに、基本方針等の策定その他の必要な事項を定めることにより、雨水の利用を推進し、もって水資源の有効な利用を図り、あわせて下水道、河川等への雨水の集中的な流出の抑制に寄与することを目的とする。
 現状の雨水桝の状態  
 適切な間隔で清掃をすれば蚊の産卵場所  不適切な間隔で清掃すれば排水障害
 現状の対策  
 
 雨水桝の蚊の対策の多くはサーベイランス、又は通報等でボウフラの存在が確認されることでIGR剤投入が行われる、この時期は蚊の活動期であり、すでに成虫として野生化している個体も存在し、対策時に虫よけスプレーなどを用いても、刺される事で感染リスクを覚悟で行われる。しかし雨が降れば、その雨水桝が負担する敷地面積の雨水が流れこみ、灯油のポリタンク程度の泥だまり水に入れたIGR剤は希釈が始まり、雨が止むころには概ね流出され効果は無いに等しい。
雨水桝の堆積物は1時間10㎜降雨を超える様な強い雨が降る事で雨水桝に流れこみ堆積が始まる。周辺のゴミの発生源により差が出るが、泥だまりの溜まった堆積物の影響で、上澄み以外の異物が流れ込む恐れがある場合には堆積物を処理する必要がある。降雨の地域性はあるが概ね年間約50回の堆積物処理が必要にるが、現実的に約1週間に1度グレーチングを開けて中の堆積物を処理することは、安全確保、臭気、蚊の拡散、人員、予算の面から不可能に近い。更に場所によっては、IGR剤の投入と堆積物の処理を同じ人出で行なっている。どちらも天気任せと、確認後と事後対応となり予防対策とは言えない。
 
 現状を改善する対策案  
 

従来の方法では、ボウフラが確認されたら化学的防除を行っていましたが、これでは産卵場所を減らすことができず、又、降雨と共に大量の雨水が流れ込むため最低でも5㎜~10㎜降雨毎に投入しなければ薬剤の効果も長続きしません。
  そこで、雨水桝を蚊の産卵できない場所にするための新しい物理的防除が求められます。
具体的には、集水口の
極細分別集水化を進めることで、落ち葉の流入を防ぎ、蚊が出入りできない状態の雨水桝を増やすことが必要です。これにより、雨水桝由来の蚊の数は普及速度に比例して減少します。
 現場に適した極細分別集水化が可能 ⇒ カタログ
 極細分別グレーチング  分別集水マットSS型  雨水桝用分別集水マット【充填型】
 極細分別集水化が可能な分別集水マットでは、下の写真の様に目の細かいHDマットを複層で使う事で、極力雨水のみを集水することが出来ます。当然蚊の成虫が外部から入り込む物理的な寸法が無い為に、野生の蚊が新たに入り込むことはできません。又卵が内部に残っていても、成虫化したのちに外部に出る事は出来ません。その為敷設後は蚊の出入りが出来なくなるため何れ内部の蚊も絶滅します。
 極細分別集水の仕組み  
 蚊の産卵数を減らす=吸血した蚊は逃がさず駆除
 吸血された蚊は逃がさず駆除
 産卵をさせない
 赤腹の蚊は駆除
 産卵をさせない
  吸血を許す=蚊の産卵に協力⇒個体数の増加:今後はやめる